山形大学工学部 米沢工業会 事務局


 

≪ものを知ることの喜びを感じさせてくれた≫ 


30~32ページより引用

 高等学校に進学し「生物」をネギさんと呼ばれる先生に学ぶ。
教科書にはじめて出てきたのは、植物の形態であった。花弁、がく、雌しべ、雄しべなどの名前を教えられた。さらに、植物の花の咲きかたは、下から上に向かって次々に咲いていく無限花序と、上から下に向かって咲いていく有限花序があるなどという話が延々とつづいた。

 私は大きな期待を抱いていただけにがっかりしてしまった。いのちの学問がそんなもんであるはずはないと思えた。上へ向かって咲き継ぐ花があるのなら、それは


「なぜそうなるのか」


ということが私の知りたいことであった。しかし、授業はいつも名前をつけるところで終わってしまう。その下に秘められている神秘に踏み込むことはついになかった。 

 私は教科書に失望して、父に頼んで大学の教科書を買ってもらった。・・・・高校の教科書より詳しく書かれているだけ理解し易く、


ものを知ることの喜びを感じさせてくれた。

 
結局、1年間の生物の授業で心に残ったことは唯一つしかなかった。それは、ねぎさんが授業の合間にふと漏らされた言葉であった。


「人間というものは、ものごとが発見された順序に沿って説明された時に、一番良く理解できるものだよ」


・・・人間がものごとをどのように理解するか、科学はどのように進展してきたかということとあいまって、考えれば考えるほど奥の深い言葉にと思えた。